尾翼概要
尾翼設計コンセプト
- 前年度の機体のヨー制御の不十分を考慮に入れ、ラダーの効きを高くする。
- プッシャープロペラ後流によるエレベーター、ラダーの効きの向上を考慮し、特にエレベーターのスパンの短縮と軽量化、取り付けマウントの付加の軽減をはかる。
- 操舵時の速度減少をできるだけ抑えるため適度のアスペクト比とテーパー比を与える。
- 駆動系、安定性に問題が生じる可能性があるテールブームのたわみと尾翼操舵時の振動を低減させるためにモーメントアームをできるだけ小さく取る。
尾翼スペック
水平尾翼 | 垂直尾翼 | |
翼幅 | 3000 mm | 2500 mm |
翼面積 | 1.624 m2 | 1.5275 m2 |
アスペクト比 | 5.542 | 4.092 |
モーメントアーム | 4550 mm | 5300 mm |
静ボリューム比 | 0.3278 | 0.01135 |
動ファクター | 1.6285 | 0.002075 |
尾翼平面形
B.Bの尾翼には昇降舵や方向舵はなく、尾翼ごと動かすオールフライング方式を採用しています。この利点は製作が容易かつ軽量であるということにつきます。ピボットポイントは翼弦25%の位置にあります。尾翼の平面形は下図のようになります。
通常の航空機は機体が水平飛行するときに必ず水平尾翼に少し迎角を付けて揚力を発生させています。そうすることで安定性を持たせているんですね。しかし、その代償に誘導抵抗も発生してしまいます(BBでは空力中心と重心位置を一致させることで尾翼の揚力0で水平飛行させることを狙っていますが実際には完全に毛揚力0は難しいです)。また、操舵したときも当然抵抗が増えます。そのような抵抗の増加を少しでも減らすために適度なアスペクトとテーパーを付けた平面形にしてあります。垂直尾翼も同様の考えで平面形を決定しています。
ちなみに実際のフライトでは一度水平飛行にはいると水平尾翼の方はほとんど動かしません。一方で、機体は簡単にか風に流されるので頻繁に方向修正をする必要があり、垂直尾翼はとてもよく使います。
尾翼構造
リブの構造自体は主翼とほとんど同じで主桁にはCFRPパイプ、ストリンガーや後縁はバルサ、前縁はt=1mmのスチレンペーパー、表面はフィルムです。
ただ、試験的にリブに発泡スチロールの代わりにスタイロフォーム(当時は発泡スチロールしか使ったことがなかった。今はスタイロフォームの方が主流?)を用いている点とリアスパーがない点が異なります。
翼型は対称翼型のNACA0009を用いています。人力飛行機では定番の翼型ですね。
尾翼はできるだけ軽く作るように努力しており、前縁のスチレンはあまり長くせず、桁も肉厚が薄いパイプ(t=0.525mm)を使っています。±45°の層は入っていません。