主翼二次構造

翼型

主翼翼型分布
B.Bで用いている翼型はMIT(マサチューセッツ工科大学)がDaedalusのために設計したDAEシリーズです。この翼型を使う理由は性能、製作のしやすさ、レイノルズ数など様々な面で現状ではベストの翼型だと思われるからです。

B.Bのスパン方向の翼型の配置は右の図のようになっています。

何故このように翼型を途中で変えるのか疑問を持つ人もいるかもしれませんね。

この様に翼型を変えていく理由は翼がテーパーしているためです。テーパー翼は矩形翼に比べて誘導抵抗と曲げモーメントの点で有利になるので人力飛行機で使うことは必須です。

しかし、テーパー翼では翼弦長が変化していくで翼のレイノルズ数が変化していきます。
翼型が最高の性能を発揮するにはレイノルズ数がとても重要になりますよね。
DAEシリーズも型番ごとに最適なレイノルズ数が設定されています。
だから、それぞれのレイノルズ数に最適な翼型を配置しているわけです。

また一般的にテーパー翼は翼端失速を起こしやすくなるので、翼端の方には失速特性が穏やかなものを配置したほうがよいということも頭に入れておきましょう。人力飛行機の場合、一度翼端失速を起こすと機体を立て直すことはほぼ不可能になりますからね。(DAE31が有利な特性なのかどうかは忘れました)

B.Bの翼の設計の際には主翼の揚力係数分布や各翼型の揚力曲線を検討して、場所ごとに最適と思われる翼型を配置しています。

リブ

翼型の形状を維持するための構造部材がリブです。リブは10mm厚の発泡スチロールの上下にバルサを貼って補強したものを用いています。CFRPパイプとの接合部もバルサを貼って補強します。

このパイプ接合部の補強は、CFRPパイプの断面が変形して剛性・強度が低下するのを防ぐ役目も持っています。竹の節みたいなものですね。

リアスパー部分や後縁周辺も強度的に厳しいのでバルサで補強しています。

リブ間隔は一定でなく30~40cmの間で変化しています。一定でないのはパイプの長さの制約と翼端に行くほどリブが小さくなり間隔が広くなっても十分な強度と剛性が得られるためです。

下の図はリアスパーがある翼弦長1040mmのリブの場合です。上下の補強バルサはリブの大きさによって厚みを変えてあります。

前縁

リブとリブの間は前縁の形に曲げたスチレンペーパーで覆ています。

しかし、これだけではスチレンペーパーが風圧に負けて凹んでしまうので、ハーフリブと呼ばれる前縁しかないリブを各リブの間に入れ、更にバルサのストリンガーを6本通して翼型を維持できるようにしています。

ストリンガーの位置はリブの項の図を見てもらえばわかると思います。正確には上面が翼前縁から0%、22%、34%、47%、60%、下面が同じく12%の位置です。

最近は前縁をスタイロフォームから切り出す方法が主流のようです。(というかスチレンをお湯で曲げてたのはウチのチームだけかも!?)こちらのほうがきっと剛性や精度の面で良いでしょうね。スチレン曲げは職人技でしたからね。

後縁

後縁はバルサの削りだしでできています。リブとの接合もバルサで、後縁補強材と上側のリブ補強バルサで接合されています。

後縁は薄いのでフィルムのテンションをきつくしすぎるとぐにゃぐにゃに曲がってしまいます。また、水に濡れたりしても曲がってしまうので問題が多いところです。この部分は忠実に翼型を再現しているとは言いがたい部分ですね。ただ、後縁の形状はそんなに気にしなくても良いという主張もあります。

形状を忠実に再現するならCFRPでつくるなども考えられますが、手間や重量とそれに見合う性能がでるのか?ということを考えるとやはりバルサに落ち着くのではないでしょうか?

フィルム

翼の表面は透明な熱収縮フィルムで覆ってあります。

フィルムはリブに両面テープで貼り付けます。その後、アイロンやドライヤーなどで収縮さてしわを取りのぞいていきます。シワは翼表面の粗さに直結するので翼の性能に大敵です。また、ある程度テンションがかかていると翼の強度もアップします。

とはいえ、あまりテンションを上げすぎると後縁の歪みやリブがない部分の形状が変わってくるので加減が大切。テストフライトを行うと破れたり緩くなったりするのでフィルムのテンションの管理が欠かせません。

これがこの構造の欠点ですが軽量で簡単に製作できるというメリットには変えられません。

ちなみに使用しているフィルムは0.6ミクロンのものです。